ビジネスの場で気をつけたいこと
お酒もセルフコントロールを
お酒ずきの糖尿病患者にとって、最大の関心事は飲酒の是非と思われます。「付き合いでどうしてもお酒をすすめられる」「商談にお酒はつきもの」という人もたくさん見いるでしょう。
糖尿病患者は「少しくらいなら飲んでもよいのでは」とか「一合でやめます」などといいます。
しかしよく考えてみましょう。一合飲んだら「もっと飲みたい。あしたからは飲まないから」と思うに違いありません。しらふのときと飲んだときの気持ちとは違うのです。飲み始めたらさらにお酒を飲み、おつまみを食べ、おしゃべりをし、また飲み、また食べるの繰り返しとなるでしょう。どれだけ飲んで、どれだけ食べたか見当がつかなくなるのではないでしょうか。
「飲まない」という“セルフコントロール”する力をつけたいものです。まったく飲んではいけないというのではありません。自分はお酒にのまれないと自信があり、血糖コントロールを絶対に乱さないという自信がある方なら、完全に禁酒する必要はありません。血糖コントロールがまだ十分にできない方には、「お酒は遠慮してください」というしかありません。
インスリン治療であれ、経口血糖降下剤の服用であれ、食事療法がきちんとできている方は、お酒の飲み方も上手です。反対にお酒にのまれてしまう方は食事療法もむずかしいようです。
アルコールは高血糖ばかりでなく、低血糖も起こします。食事をあまりとらずにアルコールを胃に入れると、飲んだ直後に低血糖が起こりやすくなります。これはアルコールが肝臓のブドウ糖を作り出す酵素を障害するからといわれています。
スポーツをする場合
仕事が終わった後に週二、三回、あるいは週末にスポーツクラブに通っている方も多いかと思われます。
以前、プロ野球の巨人軍に在籍した投手は、登板した日の試合直後には低血糖にならないのに、その日の夜に低血糖になりやすいと話していました。
激しい運動をすると、血糖を保持するために、肝臓のグリコーゲン(ブドウ糖がいくつも鎖状につながった物質)が日中に消費されて減少します。そして、夜になると、減少した分だけ血中のブドウ糖からグリコーゲンが作られるために血中の糖分が減少し、低血糖が起こるのです。「今日はいつもより激しい運動をした。まだ血糖は低くないが、なんとなく空腹感がある」といったときは、交換表をよく見て、少し規定より多めに食べておきましょう。
外食で気をつけたいこと
次に外食の摂取のしかたについて少しポイントを述べておきます。外食の特徴は脂っこいものが多いことです。せっかく家で食品交換表を用いてバランスに気をつけて食べていても、外食のときに気にせず食べてしまうと、元も子もありません。外で食べるとき、カロリーがどのくらいあるのかわからないと思ったら、半分だけ食べるのが1つの方法です。そうすればカロリーオーバーになることはないでしょう。
和風の外食でも、たくさん食べてよいということはありません。カロリーのことを頭におきながら食事をしましょう。
海外出張
糖尿病があっても、海外出張は何も問題はありません。食事療法だけの方は、自分の一日の総カロリー摂取量とそれに見合う食物のグラム数の量を知っていればまず問題ありません。ただ、海外、特に欧米の食事は、油脂が多くなるので気をつけましょう。
移動中の機内食にも注意が必要です。機内食は量もカロリーもあるので、どうしても食べ過ぎになりやすく、また座ったままなのでエネルギーの消費が極端に少なくなるため、要注意です。機内食は出たからといってすべて食べなければならないというものではなく、残してもかまわないわけです。それから機内は非常に乾燥しています。水分は、いつもよりたくさんとりましょう。
経口血糖降下剤を服用中の方は、海外でも同様に続けて飲んでください。旅行の前に必要なことは、まず短期(1〜3ヶ月)の出張なら少なくとも1ヵ月前には診療を受けることです。血糖コントロールが良いこと、合併症も落ち着いており、長時間の旅行も大丈夫であることを確かめておきましょう。また、血圧や心電図の異常の有無も必要になります。こうしたことを再確認しておきましょう。
予防注射の必要なときは少なくとも1ヵ月前までにはすませておきましょう。時間があれば、予防注射による発熱などで血糖コントロールが乱れても出発までには元に戻せるでしょう。
入国後、荷物のチェックカウンターで、機内持ち込みのバッグの中のインスリン注射液や注射針について質問を受けることも考えられます。アメリカ、カナダ、ハワイではチェックされて問題になったと聞いたことはありませんが、ヨーロッパでは時々あるようです。
自分か糖尿病であることを記載したカードや糖尿病手帳、インスリンの携帯を証明する手紙などいずれでもよいですから、ぜひ持参してください。インスリン注射液や注射針やインスリンペンであることがわかると、何の問題もなく税関を通してくれます。
自分がインスリン注射をしていますという証明のブレスレットなども市販されています。国内旅行のところで述べたように、海外へも糖尿病手帳、ノートはぜひ持参し、出張中も記入したいものです。
3ヵ月以上の長期出張の際は、これまでの糖尿病の経過と処方せんの内容を主治医に書いてもらい、先方の国の専門医療機関にかかることをおすすめします。薬局で薬やインスリンを買うことになるので、定期的に検査を受けて処方せんをもらいましょう。
長期出張になる場合、前もって海外の潜在地がわかっていれば、主治医にその近くの糖尿病専門の医師を探してもらっておきましょう。そして主治医に、その医師宛に手紙とこれまでの経過を記載してもらい、持参するのがよいでしょう。ノボノルディスクファーマ社やイーライリリー社に依頼すると、世界中の糖尿病専門医を探してもらえます(主治医から問い合わせてもらいましょう)。ただ、この探索には時間がかかります。そこで、最低で3ヵ月前には、先方の住所を主治医に知らせておきたいものです。
海外でのインスリン注射の打ち方
海外でインスリン製剤を買い求めるときに注意しておきたいことがあります。一部には40単位/mlのインスリン製剤を売っている国もありますが、海外ではたいてい100単位/mlのインスリン製剤しか売っていません。日本で40単位/mlを使っていた人は特に注意してください。
赤いキャップの、赤字で40まで目盛ってあるインスリン注射針は40単位用のものです。この注射針ではけっして100単位のインスリン液を注射しないでください。2.5倍量のインスリンが体内に入ることになり、低血糖を起こします。
これまで40単位/mlのインスリンに慣れていた人が長期出張に出るときは、前もって100単位用のインスリン製剤に切り替えておいたはうがよいと思います。
主治医に話して、100単位/mlインスリンに変えてもらってください。
昨今、ペン型インスリンがたいへん普及してきました。使い捨てのペン型インスリンも販売されています。中間型と速効型を前もって混合してあるものも販売されています。移動が多い人にはたいへん便利です。
残業のときの夕食に注意
夜遅くまで残業するときの問題点は、夕食をどの時点でとるかでしょう。避けたいのは、夕食を夜遅くに大量にとることです。これは血糖コントロールを乱す最大の原因になります。
夕食はできるだけ午後6時から8時までの間にとってください。自宅に帰って食べることが時間的に無理な場合は、外食(出前)でもしかたがありません。外食のときは、前に述べたように、カロリーを考えたうえで食べることが肝心なことはいうまでもありません。
深夜まで残業が続き、どうしてもおなかが空いてしまったらどうしたらよいでしょう。
食事療法だけで血糖コントロールをしている場合は、おかずだけ少量とるのがよいでしょう。経口剤やインスリン注射をしている場合は、低血糖症状にまず注意してください。低血糖症状でなければ、おかずを1〜2単位とるのも一案です。
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