糖尿病における運動療法と薬物療法
運動療法
運動療法もまた食事療法と並ぶ糖尿病の基本治療の柱で、2型糖尿病(インスリン非依存型)の患者さんでは、多くの場合、食事療法と運動療法だけで良いコントロールを得ることができます。しかし運動療法は、食事療法とは異なり、すべての糖尿病の患者さんが行うべきかどうかは問題となります。
運動療法を行ってはならない場合(これを禁忌といいます)があることに注意しなければなりません。たとえば、血糖値が著しく高く、コントロールが不良な場合には、運動によって糖尿病のコントロールはさらに悪化する可能性があります。また、糖尿病の合併症があるために、運動を控えなければならない場合も少なくありません。
今にも眼底出血を起こしそうな増殖網膜症をもつ人、腎機能が低下して、腎不全という状態まで進行してしまった人などでは、むしろ運動は禁忌なのです。そのほか、膝や足の関節に問題をかかえている人、足に潰瘍や壊疽などができている人、心臓に問題のある人なども運動療法は控えるか、慎重にしなければなりません。
養薬物療法
糖尿病の薬物療法は経口血糖降下剤とインスリン注射に大別されます。経口血糖降下剤には、インスリンを産生・分泌する膵臓のβ細胞に直接働いてインスリンの分泌を促進するスルホニル尿素剤(SU剤)、インスリン分泌促進作用をもたず、膵臓以外に対する働きが主な作用であるビグアナイド剤(BG剤)、腸管(小腸の粘膜)での糖質の分解・吸収を抑え、食後にみられる急激な血糖の上昇(食後の過血糖)を抑制するαグルコシダーゼ阻害剤などがあります。
インスリン依存型の人では、インスリン注射が必須であり、これらの経口剤がインスリンと併用されることはあっても、単独で用いられることはありません。
スルホニル尿素剤
サルファ剤という化学療法剤の開発中に偶然、副作用として見いだされた低血糖が、スルホニル尿素剤の誕生のきっかけとなりました。その後、今日まで60年近く経口血糖降下剤の主役の地位を保ち続けています。現在、日本ではじ種類、さらに同類のスルホンアミド剤一種類が使われています。効力の強弱、作用時間の長短、体内での代謝経路の違いなどそれぞれ特徴はありますが、基本的には同しものといえます。この薬の副作用としては、低血糖に注意しなければなりません。
スルホニル尿素剤に限りませんが、糖尿病の治療薬は患者さんの自己判断で服用を開始したり、勝手に増量したりしてはいけません。これは劇薬に指定されており、血糖値を定期的に測定し、必ず医師の指導のもとに服用すべきものです。
ビグアナイド剤
これも古くから使われている薬ですが、スルホニル尿素剤とは作用のメカニズムが異かっています。膵臓に働いてインスリンの分泌を促進する作用はなく、低血糖を起こすことはまずありません。しかし、この薬剤には血中の乳酸が増加し、アシドーシスを引き起こす「乳酸アシドーシス」という副作用が報告されています。
この薬は、スルホニル尿素剤と併用されることが多く、単独で投与されることはあまりありません。スルホニル尿素剤に比べると、使われる頻度はかなり低くなっています。
αグルコシダーゼ阻害剤
αグルコシダーゼ阻害剤は、わが国では1993年から臨床に使われるようになった薬です。
糖尿病が比較的軽い場合には、食前(空腹時)の血糖値は高くなりませんが、食後の血糖値はかなり高くなっています。このような人がαグルコシダーゼ阻方剤を服用すると、食後の過血糖が抑えられ、結果として、一日の血糖値が良好に保たれることが期待されます。この薬を服用した場合、それだけでは低血糖を起こすことははとんどないとされていますが、その代わり、おなかが張る、オナラが増えるといった消化器の副作用が高頻度に認められます。この薬の効果を期待する以上、ある程度、避けられない副作用といえます。
インスリン抵抗性改善剤
インスリン抵抗性とは、インスリンが作用するところ(細胞)で、その効果が出にくくなっていることをいい、いろいろな原因で起こるものと考えられています。そのような病態に対して、インスリンの抵抗性を取り除き、インスリンの効果を高めるような働きをもっている薬剤がインスリン抵抗性改管剤です。
日本人の2型糖尿病(インスリン非依存型)の大多数にみられる特徴は、インスリンの分泌が低下していることですが、インスリン抵抗性もみられることがあります。人によってどちらが目立つかという違いはあるものの、両方とも認められると考えるはうがよいのかもしれません。
臨床試験でのデータによると、インスリン抵抗性改善剤の効果は、食事療法やスルホニル尿素剤による治療ではコントロールが不十分なインスリン非依存型糖尿病の患者さんの40〜50%に有効であったとの報告がみられます。
ひと口に糖尿病の経口剤といっても、これまでに述べたように、いろいろな作用メカニズムをもった薬剤が登場してきました。それぞれの薬の特徴を生かし、効果を高めるには主治医のさじ加減よりも、患者さん地震の食事療法(と運動療法)の励行が大切であることをもう一度強調したいと思います。
インスリン注射製剤
インスリン注射の始まりは1922年までさかのぼることができます。インスリンの発見が1921年ですから、その翌年には早くも治療薬として登場し、劇的な効果をあげ、「糖尿病昏睡」の時代に幕を閉じるに上での最大の功労者になったのです。インスリン発見の経緯は、物語にもなっているので、糖尿病に縁のない人でも、インスリンについての知識はもっている方が多いことと思います。
インスリン製剤は、登場以来今日まで、めざましい進歩をとげてきています。なかでも、1980年代の初めに、遺伝子工学的方法によってヒトインスリンの大量生産が可能になったことは、特筆すべき
ことでした。ヒトインスリン製剤は、遺伝子工学(組み換え)の産物による医薬品の第一号です。それまでは、ウシやブタの膵臓から取り出したインスリンを精製して製剤にしていました。これらの動物インスリンも、効果(血糖低下作用)の点では、ヒトインスリンと比べてそん色がなく、まれにインスリンアレルギーなどの問題が起こるにすぎませんでした。しかし、遺伝子工学的方法によって、ヒトインスリン製
剤の大量生産が可能になったことは、世界的にみて、将来のインスリン製剤の不足を完全に解消した点でも大きな意味があったのです。
注射製剤というと、小さなビン(バイアル)に入っていて注射器に吸引して、注射するものというイメージをお待ちの方が多いと思いますが、今では、多くの製剤がカートリッジに入っており、ペン型の注射器を用いて注射するか、カートリッジと注射器が一体となった、使い捨てタイプの製剤が主流となっています。このような製剤面の進歩は、インスリン注射を必要とする患者さんにとって、大きな福音となっています。
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