糖尿病　食事の基本

糖尿病での食事療法は、薬より大切

今日では、誰でも「糖尿病になると食事療法をしなければならない」ということを知っているようですが、しかしそれが何故に必要なのか、糖尿病にはどんな食事療法をするのかとなると、答えられない人が大部分のようです。
たとえ答えた人でも、「糖尿病は甘い物を食べれないのですね」というくらいですが、しかもこの答えは間違っているのです。
なるほど明治、大正当時までは、糖尿病は尿に糖が出る病気だから、血糖を下げ、尿糖を出さないようにすればよいという考え方から、糖質を合む食物を極端にまで制限し、あるいは無糖食として、その代わりにたんぱく質や脂肪をとるようにさせました。

このような昔の考え方からすると、糖尿病は「甘い物を食べれない」病気ですが、しかしその後の数多い研究によって、糖尿病患者にもある程度の糖質を含む食事をとらせた方がよいことがわかってきました。

さらに1922年のインシュリンの発見によって、糖尿病の本質が明らかにされて、食事療法の考え方や方法が大きく変化したのです。

糖尿病の食事とインシュリンの関係

糖尿病は、体内のインシュリンの不足によって起こる病気でした。
したがってその治療は、インシュリンの不足に対する何らかの方策でなければなりません。
国家の経済であれ、私たちの家計であれ、なんでも物の不足に対しては、まずその節約が第一に考えられ、それでも不足する場合に至って、はじめて外部から、あるいは内部からふやす対策が講ぜられます。

体内のインスリンの不足の場合も、これと一向に変わりありません。
第一の対策である節約を考えるにはインスリンが少なくてもすむようにすることですが、インシュリンの需要を高めているのは食事です。

私たちのからだは、食物をたくさんとればとるほど、これを処理するためにインシュリンをそれだけ多く必要としています。
それに肥満してもインシュリンの必要量を多く求めます。

したがって糖尿病で食事を少なくすること、これは肥満した人では体重を減らすということになりますから、食物を制限することによってインシュリンを節約することができるわけです。

糖尿病の薬は食事療法

以上が糖尿病によって、何故に食事療法が大切であるかという理由ですが、ところが多くの糖尿病患者のなかには、自分は薬をのんでいるから、あるいはインシュリンの注射をしているから大丈夫という考えから糖尿病に対しての食事療法を指示どおりやらない人も少なくありません。

また食事を多くとりたいところから、必要以上に薬をのんで糖尿病食事療法の指示を守らない人もいます。

しかし、このようにインシュリンにばかりだよっていますと、インシュリンを生産する臓器が弱ってくるという弊害が生じてきます。
それに急性低血症という危険のおそれもあります。
また、インシュリンの作用と桔抗するほかのホルモソ群の分泌をよけいに刺激して、悪結果を及ぼすということにもなりかねません。

医師は、糖尿病を食事療法だけではコントロールできない場合にだけ、インシュリンの注射を行ない、他のクスリをのむように指示しています。
すなわちあくまでも糖尿病においては食事療法が中心であって、インシュリンその他の薬の使用は補助策なのです。

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