インスリン非依存型糖尿病の原因
2型糖尿病（インスリン非依存型糖尿病）の原因は、遺伝が基本になっていることはまちがいありませんが、現在まだ、どの遺伝子が糖尿病にかかかるものかは判明していません。
ただし、遺伝的な因子と、生まれてからの環境因子の両者が関与していることは明らかです。遺伝に関しては、糖尿病をもつ人の子供に糖尿病が起こりやすいことは以前から知られています。
特に両親とも糖尿病の場合、その子供には高率に、しかも比較的若いうちに糖尿病が発症します。肺臓β細胞のインスリン分泌能力の、少なくとも一部は、遺伝的に決まるようです。
環境因子とは、過食、肥満、運動不足などをいいます。過食によって必要以上に栄養分が吸収され、脂肪が増加した肥満の状態では、インスリンの需要が供給を上回る結果となり、相対的なインスリン不足をきたして、血糖が上界することになります。運動不足もインスリンの需要を増加させる大きな原因となります。
通常、このような状態は徐々に進行するため、インスリン非依存型糖尿病はゆっくりと発症することになります。環境因子が強い場合には、遺伝的因子か弱い場合でも糖尿病を発症します。近年のわが国における欧米型の食事や、都心型の生活による運動不足が、インスリン非依存型糖尿病の著しい増加の原因となっているものと思われます。
インスリン依存型糖尿病の原因
1型糖尿病（インスリン依存型糖尿病）の原因については、これまでの研究では、ある種のウイルス感染により、本来自己の細胞あるいは組織に対しては働かないはずの免疫機構に変調を生じて、β細胞が自己のリンパ球によって破壊されてしまうためではないかと考えられています。
このような病気は「自己免疫疾患」と呼ばれており、インスリン依存型糖尿病のはかにも、バセドウ病、橋本病などの甲状腺の病気やアジソン病という副腎の病気などが知られています。
インスリン依存型糖尿病の場合も、遺伝的な因子の関与が示唆されています。たとえば、ＨＬＡとりつ細胞膜の表面に存在するタンパク質（組織適合抗原）の一部の型とインスリン依存型糖尿病の発症の間には密接な関連があるといかれています。事実、ＨＬＡが一致している一部性双生児の問では、一人にインスリン依存型糖尿病が発症すれば、もう一人も高率で発症します。ただし親から子供への遺伝は、2型糖尿病（インスリン非依存型糖尿病）に比べるとかなり少ないようです。
その他の糖尿病
そのほかにも糖尿病を起こす原因として、いろいろなものがあります。その中で最近多いのは薬剤によるむので、薬の副作用といえます。特に「ステロイド」という薬による糖尿病は有名です。また、アルコールの飲み過ぎや胆石などが原因で起こる急性・慢性腸炎は、その炎症がランゲルハンス鳥のβ細胞に波及するため、インスリンの分泌が低下することによって糖尿病が起こります。
さらに、脳下垂体、甲状腺、副腎などの内分泌腺の病気と糖尿病は、密接な関連があります。
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