糖尿病 食事療法

糖尿病と妊娠

1921年にインスリンが発見され、1922年からインスリンが臨床に応用されるようになって以後、糖尿病女性の妊娠は可能になりました。

 

  • インスリン発見以前には、糖尿病女性が妊娠することは不可能なことでした。
  • インスリンの発見は、母体および胎児の状態にとって不可能を可能にしたといえます。

 

しかし、糖尿病をかかえながら病気を悪化させることなく、元気な赤ちゃんを産むためにはそれなりの準備が必要です。ここでは、妊娠を希望する糖尿病女性は、どのようにしたら正常婦人と変わらない妊娠・出産をすることができるかを述べます。

 

 

計画妊娠

母体の血糖(値)が高い揚合、け体ではケトアシドーシス、糖尿病昏睡、糖尿病網膜症、腎症の感化、尿路感染症、流産、妊娠中毒症、羊水過多症といった合併症がおきやすくなります。児では子宮内胎児死亡、奇形、巨大児、低血糖、高ビリルビン血症(黄疸)、多血症、低カルシウム血症、呼吸障害を合併しやすくなります。

 

受胎時や妊娠初期の血糖コントロールが不良の場合、赤ちゃんの奇形が心配になります。赤ちゃんの奇形は妊娠七週までに決定されます。ですから妊娠してから血糖のコントロールをよくしたのでは遅すぎるのです。

 

血糖コントロールが不良の場合、赤ちゃんが100%奇形になるわけではなく、大奇形になるのは4〜6%にすぎませんが、計画妊娠をすることにより、児の奇形を予防することができます。

 

また、母体の糖尿病網膜症、特に増殖網膜症や腎症症は妊娠によって悪化します。

 

赤ちゃんの奇形を予防し、網膜症々腎症などの母体の糖尿病性合併症が妊娠中に悪化しないように、血糖コントロールを良好に保ち、眼底検査や尿検査を行い、妊娠が可能な状態かどうかを判断し、主治医の許可を得たうえで妊娠することが大切です。これを計画妊娠といいます。

 

まだ結婚していなくても、糖尿病が発症した時から、将来、結婚・妊娠する可能性のあることを考えて、常に血糖コントロールを良好に保ち、糖尿病合併症を起こさないように努力することが大切です。

 

 

妊娠を許可するには

 

血糖のコントロール目標

妊娠が許可できる血糖コントロールの目標は、空腹時血糖値100mg以下、食後2時間血糖値120mg以下ド、ヘモグロビンA1c 6%以下です。

 

食斜療法は糖尿病治療の基本であり、血糖コントロール、体重コントロールのためにぜひ必要です。特に肥満の場合には一日の総カロリー量が1200kcalの食事指導を行い、標準体重に近づくようにします。

 

経口血糖降下剤を使用しているときには、インスリンに変更します。経口血糖降下剤は赤ちゃんに奇形を起こす心配はありませんが、胎盤を通過して胎児に移行し、出生時に児に低血糖を引き起こすため、妊娠中には用いません。これに対し、インスリンは胎盤を通過して児に移行することかありませんから、胎児に大奇形を起こす心配はありません。

 

すでにインスリン治療を行っており、一日1〜2回のインスリン注射をしていても血糖コントロールが良好でない場合には、一日3〜4回の頻回注射に切り替えます。インスリン依存型糖尿病の場合には、一日四回のインスリン注射にすることにより、コントロール目標を達成することは可能です。ペン型インスリン注射器の出現により、頻回インスリン注射も行いやすくなっています。

 

糖尿病網膜症と妊娠

前増殖網膜症、増殖網膜症は妊娠によって悪化し、最悪の場合には失明することもあるため、専門の眼科医の治療を受けることが必要です。光凝固療法を的確に行い、網膜症が安定したことを確認してから妊娠を許可することになります。この妊娠許可までには数年を要することもあります。

 

単純網膜症は、長期間血糖コントロールを行わずに放置しており、急激に血糖コントロールを行った場合に悪化することがあります。しかし、血糖コントロールを良好に保ち、適切な時期に光凝固療法を行うことにより、網膜症は安定化します。

 

血糖コントロールが良好で、網膜症を合併していない場合や、単純網膜症があっても安定化していれば、妊娠は許可されます。

 

糖尿病腎症を合併している場合

腎症を合併していても、

  1. 尿タンパクが1g/日以下で、
  2. クレアチニンクリアランスが70ml/分以上で、
  3. 高血圧を合併していない場合には、

妊娠が許可されます。しかし、妊娠中毒症、子宮内胎児発育遅延、早産などが起きやすく、母児ともにリスクは高くなります。したがって妊娠中に長期の入院が必要となる場合もあります。

 

 

妊娠中の治療

妊娠中の糖尿病の治療は、妊婦を中心に、医師(内科医、眼科医、産婦人科医、新生児料医)、教育ナース、栄養士、助産婦などがチームを組んで行います。

 

血糖コントロールの目標

妊娠時の血糖コントロール目標は、血糖の正常化ですが、空腹時血糖慎100mg/デシリットル以下、食後2時間血糖値120g/dl以下を許容範囲としています。さらに長期の血糖コントロール指標としては、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミンを用い、正常化を目標にしています。

 

食事療法

妊娠時も食事療法を守ることが大切です。妊娠中の摂取カロリーの計算は次のように行います。

  • 妊娠前半:標準体重×30kcal+150kcal
  • 妊娠後半:標準体重×20kcal+250kcal

妊娠中の体重増加は6〜8kgが理想的です。

 

肥満妊婦の場合には1200〜1400キロカロリーの食事を行いますが、尿ケトン体が出現した場合には摂取カロリーを増量します。

 

高血糖、低血糖を防ぎ、血糖の変動を少なくするために、食事を分食することも大切です。

 

インスリン療法

一般に、妊娠中は血糖値が上がりやすくなります。妊娠すると、胎盤で

  • 血糖上昇作用のあるインスリン桔抗ホルモンが産生されること
  • インスリン分解酵素によリインスリッが分解されること

などの理由により、特に妊娠20週以後はインスリン抵抗性となります。

 

これに対して、正常妊婦では、妊娠初期・中期・後期と妊娠の経過とともに膵臓からのインスリン分泌が増加して、血糖値が上がらないように調節しています。しかし、糖尿病の場合には、インスリン抵抗性に打ち勝つために必要なインスリンを母体の膵臓から分泌することができません。

 

そこで、食事療法のみで血糖コントロールが良好であったインスリン非依存型糖尿病の場合でも、妊娠中に食事療法のみで良好な血糖コントロールの達成が不可能な場合には、インスリンを使用することになります。

 

妊娠前からインスリン治療を行っていた場合にも、インスリンの需要量は増加します。妊娠初期には「つわり」のために量が減少することがありますが、特に妊娠20週以後のインスリン霊要量は非妊娠時と比較すると、インスリン非依存型糖尿病では約2倍、インスリン依存型では約1.5倍まで増加します。

 

インスリン注射の回数は、インスリン非依存型糖尿病妊婦では中間型または混型やインスリンを一日1〜2回、インスリン依存型糖尿病妊婦では毎食前に速効型インスリン、就寝前に中間型インスリンを使用します。

 

インスリンの調節は、その時の血糖値、グリコアルブミン(GA)、ヘモグロビンA1cの結果を参考に行いますが、特に血糖自己測定の結果は非常に参考になります。

 

管理・治療

外来への通院は、妊娠初期には2〜3週に1回、妊娠中期には2週に1回、妊娠後期には毎週が原則です。しかし、血糖コントロールが不良の場合には、母体の糖尿病性合併症、産科合併症の状態によって、その回数はそれぞれ異なります。

 

血糖コントロール不貝糖尿病腎症の悪化、妊娠中毒症、切迫早産の揚合には入院のうえ、治療する必要があります。

 

糖尿病性合併症への対応

眼底検査は、妊娠初期、中期、後期と定期的に行います。網膜症を合併している場合には、網膜症の程度に応じて頻回に眼底検査を行い、必要な場合には光凝固療法を行うこともあります。

 

糖尿病腎症が妊娠時に悪化した場合には、入院により安静を保つ必要があります。

 

 

出産

血糖コントロールが良好で、合併症もなく、胎児の状態も安定している場合には、産徴が出現してから入院し、自然分娩も可能です。しかし、糖尿病性合併症、産科合併症、胎児の状態が悪いときには、帝王切開になることがあります。こうした点からも、産婦人科医、新生児科医、糖尿病専門の内科医がそろった病院での出産が安全です。

 

 

出産後

出産後、インスリン需要量は急激に減少し、はぼ妊娠前のインスリン量に戻ります。インスリン非依存型糖尿病の女性では、食事療法のみで血糖コントロールが良好となる場合もあります。

 

授乳期の食事摂取カロリーは、標準体重×30kcal+600kcalですが、授乳量の少ない場合には標準体重×30kcalに加えて授乳100cc=100kcalとして計算します。

 

授乳中に、食事療法のみでは血糖コントロールがよくない場合には、インスリンを使用します。経口血糖降下剤は母乳中に分泌されるため使用できないからです。血糖コントロールが不良の場合には母乳の成分が変化するという報告もあり、授乳時の血糖コントロールも常に良好に保つ必要があります。

 

 

 

 

 

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